ベトナム進出・現地法人設立の基本
ベトナムへの進出形態は、駐在員事務所・現地法人(LLC/JSC)・既存企業への出資が主な選択肢。製造業はライセンスと工業団地の選定、サービス業はWTOコミットメントに基づく外資規制の確認が出発点になる。
ベトナムの労務・雇用の基本
労働契約・社会保険・労働組合の三点が骨格。最低賃金は地域区分(Region I〜IV)ごとに毎年見直され、賃金テーブル全体に波及する。解雇規制は厳格で、退職合意の実務が発達している。
ベトナムの税務・会計の基本
法人税(CIT)は標準20%。優遇税制が厚い一方、移転価格文書化・関連者取引の申告義務など執行は年々厳格化している。会計はベトナム会計基準(VAS)が基本で、外資企業は監査が必須。
ベトナムの就労ビザ・滞在手続き
就労は労働許可証(ワークパーミット)→一時滞在許可証(TRC)の二段構え。書類の領事認証に時間がかかるため、着任の2〜3か月前から動くのが定石。制度改定が頻繁で、最新要件の確認が欠かせない。
ベトナム駐在の生活・医療・教育
ホーチミン・ハノイとも日本人向け生活インフラは充実してきた。医療は外資系クリニックが日常対応の中心で、重症時はバンコクやシンガポールへの搬送も選択肢に入る。医療保険の設計が生活の安心を左右する。
ベトナム市場の構造 — 輸出製造と1億人の内需
スマホ・電子機器の一大輸出拠点である一方、人口1億・平均年齢30代前半の内需が立ち上がる「二正面」市場。製造は北部、消費は南部という地理的分業を押さえると戦略が立てやすい。
シンガポール法人設立と地域統括拠点の基本
シンガポールは設立手続きが速く(最短即日〜数日)、法人税17%と広い租税条約網から地域統括拠点(RHQ)の定番。一方で人件費・オフィス賃料は域内最高水準で、何をこの拠点に置くかの設計が重要になる。
シンガポールの就労パス制度(EP/S Pass)
駐在員の基本はEmployment Pass(EP)。給与基準とポイント制(COMPASS)の二段構えで、基準は段階的に引き上げられている。家族帯同はDP(Dependant's Pass)。申請は雇用主主導でオンライン完結する。
シンガポールの税務・会計の基本
法人税17%に部分免税が乗るため実効税率はさらに低い。属地主義に近い課税・広い租税条約網・キャピタルゲイン非課税が統括拠点としての強み。GSTは9%。コンプライアンスはシンプルだが期限管理は厳格。
タイ駐在の生活立ち上げガイド
バンコクは日本人約7万人が暮らす世界最大級の日本人コミュニティがあり、生活インフラは充実。一方でビザ・労働許可・銀行・住居は手順を踏む必要があり、着任前後の段取りが立ち上がりの速さを決める。
タイ進出・会社設立の基本(外資規制とBOI)
タイは外国人事業法(FBA)により、サービス業を中心に外資過半出資が制限される。この制約を解くのがBOI(投資委員会)恩典で、100%外資・法人税免除・外国人雇用枠などが得られる。製造業進出の定石はBOI申請から始まる。
タイの労務・雇用の基本
解雇時の法定解雇補償金(勤続に応じ最大400日分)がタイ労務の最大の特徴。労働者保護法の適用は厳格で、就業規則・賃金体系の設計段階から解雇コストを織り込む必要がある。
インドネシア進出・PT PMA設立の基本
外資は原則PT PMA(外資出資有限会社)で進出する。ネガティブリスト(現・優先投資リスト)の改定で開放業種は拡大傾向だが、最低投資額のハードルが高いのが特徴。許認可はOSSシステムで一元化された。
インドネシアの税務・会計の基本
法人税22%・VAT11%(12%への段階引上げが議論)。税務調査と還付審査が厳しいことで知られ、「取られやすく返ってきにくい」前提の資金繰り設計が要る。
インドネシアの労務・雇用の基本
オムニバス法(雇用創出法)で解雇規制は緩和されたが、退職金の負担は依然として域内最重量級。州・県ごとの最低賃金(UMP/UMK)と労組の交渉力が実務の焦点。
マレーシア進出・会社設立の基本
製造業は100%外資が広く認められ、SSM(企業委員会)での設立手続きも比較的速い。半導体後工程・データセンターの集積が進み、MIDA(投資開発庁)の優遇と州ごとのインフラ事情が拠点選定の軸になる。
マレーシアの税務・会計の基本
法人税24%、売上税・サービス税(SST)体系。MIDA恩典(パイオニア・ステータス/投資税額控除)の管理と、サービス輸入への課税(輸入サービス税・源泉)が日系実務の要点。
マレーシアの労務・雇用の基本
EPF(積立基金)・SOCSO(社会保障)の法定負担と、多民族・多宗教に配慮した休日・就業設計が基本。エンジニア人材は半導体・DC投資の集中で争奪戦になっている。
カンボジア進出の基本
ほぼ全業種で100%外資が可能という開放度と、米ドルがそのまま使えるドル化経済が特徴。適格投資プロジェクト(QIP)認定で税恩典が得られる。制度の運用は担当者裁量の幅が大きく、実務は現地専門家と進める。
カンボジアの税務の基本
法人税20%に加え、月次で売上の1%を納めるミニマム税(前払税)が資金繰りに効く独特の制度。電子申告化が進む一方、運用には揺らぎがあり、記帳・証憑の堅牢さが防御になる。
カンボジアの労務・雇用の基本
縫製業の最低賃金が毎年の労使政府交渉で決まり、他産業の賃金相場の基準になる。若く豊富な労働力が魅力だが、管理層人材は薄く、育成が前提になる。
ラオス進出の基本
人口約750万の小規模市場で、進出は経済特区(SEZ)経由か水力・鉱業などの資源系が中心。中国ラオス鉄道の開通で「タイ+1」の陸路物流拠点としての新しい価値が生まれている。
ラオスの税務の基本
法人税は標準20%。税制はシンプルだが、外貨規制と送金の実務が実質的な難所になる。SEZ恩典企業は免税期間と申告義務の関係を確認しておく。
ラオスの労務・雇用の基本
賃金水準は域内最低クラスだが、タイへの出稼ぎで労働力が流出しやすく、「安いが集まりにくい・定着しにくい」のが実態。SEZ内は比較的採用しやすい。
ミャンマー進出の基本 — 様子見期の判断軸
2021年以降の政情により、新規進出はほぼ停止し、既存拠点の「維持・縮小・撤退」の判断が主題になっている。制度上はMIC(投資委員会)認可・会社法登録の枠組みが存続するが、運用の予見性は低い。
ミャンマーの税務の基本
法人税22%、商業税5%が基本構造。制度自体より、外貨建て納税・還付・送金の運用が読めないことが実務リスクの中心になっている。
ミャンマーの労務・雇用の基本
賃金水準は域内最低クラスで縫製業の集積は残るが、人材の国外流出と徴兵制の影響で採用環境は不安定。従業員の安全と生活への配慮が雇用主の実務そのものになっている。
ブルネイ進出の基本
石油・ガス関連が経済の中核で、日系の進出もエネルギー分野が中心。設立手続きはシンプルで英語で完結するが、市場規模(人口約45万)ゆえ、単独市場ではなく「エネルギー協業+多角化政策への参画」で考える。
ブルネイの税務の基本
法人税18.5%、個人所得税・VATなしという域内最軽量級の税制。石油ガス事業は別体系(高率)で課税される。タックスヘイブン的な使い方ではなく、実業に伴う軽税制と捉えるのが適切。
ブルネイの労務・雇用の基本
国民の多くが公務員・国営系に勤めるため、民間の現地人材採用は構造的に難しい。外国人労働者(周辺国出身)への依存度が高く、現地化(Bruneianisation)政策とのバランスが実務課題。
東ティモール進出の基本
2025年のASEAN加盟で制度整備が進む「これからの市場」。現時点の商機は政府・援助機関(JICA・ADB)案件が中心で、民間単独の進出は限定的。先行者として関係を作るフェーズにある。
東ティモールの税務の基本
法人税10%と域内最軽量の税制。制度はシンプルだが執行体制が発展途上で、実務は「制度より運用」を現地専門家に確認しながら進める。
東ティモールの労務・雇用の基本
人口の半分以上が25歳未満という若い国。技能人材は不足しており、雇用は「育成込み」で設計する。賃金水準は低いが、生産性とセットで評価する必要がある。
フィリピンの労務・雇用の基本
6か月でのレギュラー化(正社員化)と厳格な解雇規制、13か月給与の法定義務がフィリピン労務の三大特徴。英語人材の厚みがBPOを支える一方、労使紛争は手続き重視で長期化しやすい。
フィリピン進出・会社設立の基本
SEC(証券取引委員会)での法人登録が起点。外資規制はネガティブリスト方式で、小売業の払込資本要件や土地所有制限(外資不可)が特徴。輸出型はPEZA登録で大幅な優遇が得られる。
フィリピンの税務・会計の基本
CREATE法で法人税は25%(中小は20%)に引き下げられ、優遇体系も再編された。BIR(内国歳入庁)のコンプライアンス要求が細かく、証憑主義の徹底が実務の負荷になる。